05.見知らぬ人が養子に ■
2002.7.25/弁護士 澤田有紀
甲野太郎さん夫婦はある日突然、△△債権回収株式会社から「甲野乙雄殿法定相続人甲野太郎殿」と宛名に記載された通知書を受け取りました。
そこには甲野乙雄という全く知らない人の名前が書いてあり、その人の借金について、相続人である太郎さんに支払えという内容の通知が書いてありました。
一体なんのことかわからず、放っておいたところ、次々に消費者金融や信販会社から同様の通知書が届いたり、請求の電話がかかってきたりしてきました。電話で、聞いた話は、びっくり仰天の内容でした。甲野乙雄という人が借金をしていたのですが、昨年、太郎さん夫婦の養子になっており、しかも最近死亡したので、太郎さん夫婦が借金の相続人だというのです。
あわてて戸籍を取り寄せると、確かに昨年夫婦で養子縁組をしたとの届けがされており、甲野乙雄が太郎さん夫婦の養子ということになっています。市役所に相談に行っても、本人が死亡している以上どうにもならないといわれ、途方に暮れてしまいました。
相続放棄という方法もありますが、その場合は、養子縁組を有効と認めたことが前提となるので、戸籍に知らない人が養子にはいったという事実は消えません。この場合、養子縁組無効の裁判をする必要がありますが、相手が死亡しているので、人事訴訟手続法により、検察官を訴えることになります。
消費者金融で借金をする時、生年月日と名前で信用情報センターに照会をかけるため、養子になって姓がかわれば、別人として新たに借入が可能となるため、乙雄さんは勝手に他人の養子になって姓を変えたのでしょう。
乙雄さんが死亡して初めて勝手に養子に入られたという事態が発覚したのですが、なかなか戸籍を取り寄せるという機会はないため、勝手に結婚させられていたり、離婚させられていたりなどということが起こっていてもわからないものです。養子縁組、結婚、離婚の届出が認印でよいという窓口の運用は大いに問題があるといわざるをえません。
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(C)弁護士法人みお綜合法律事務所(大阪弁護士会所属 代表弁護士澤田有紀)