07.囲繞地(いにょうち)通行権事件 一件落着しました! ■■■
2002.7.25/弁護士 澤田有紀
遺言(遺産分割)で袋地を取得することとなった人が通行権問題で相談に来られました。父親の遺産相続で遺言により取得した土地建物が袋地で、それを取り巻く土地は実弟が相続していて通行権の交渉をしたが1メートルなら認めるというのです。大阪府の建築基準法に基づく公道への接道義務は2メートルです。最低2メートルの通路幅がないと建物の建築が不可能です。しかし、兄弟間での話し合いが出来ませんので相談に来られたわけです。お二人の感情的なしこりは事のほか強く、話し合いは到底無理なケースでした。場所は大阪市郊外の駅前から少し離れた商店街の端の住宅地です。弟さんの土地すなわち囲繞地(いにょうち)の間口は18.24メートル奥行き56.27メートルの南北に長い長方形の土地754.81平方メートルであります。相談者が取得した袋地は、北西隅の276.58平方メートルです。
相談者と協議しまして、実弟側代理人の先生に協議の申入れをしましたが、1メートル以上は認められないということでした。止むを得ず、裁判を起こし、自動車通行が可能な4メートル幅の通行権確認訴訟を起こしました。
判決では、行政法規で最小限必要とされる2メートルの限度で通行権が認められました。実弟は控訴しましたが、控訴審でも結論は変わりませんでした。結論は正当だと思います。実弟の所有地に対する損害の最も少ない方法と、袋地の有効利用との権利調整の問題ですから、裁判所の見方によって結論が大きく変わることがあるケースです。
相談者は満足して下さいましたのでこれで一件落着ですが、売買で取得する場合は勿論、遺産分割の場合でも共有土地を分割した場合は、共有者間で通行権を解決しなければなりません。第三者の土地に民法で定める囲繞地(いにょうち)通行権を主張することが出来ませんから注意しなければなりません。
通路確保のため使用目的を通路として賃借するか、地役権を設定しておく必要があります。
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(C)弁護士法人みお綜合法律事務所(大阪弁護士会所属 代表弁護士澤田有紀)