09.サルモネラ菌感染中毒死事件解決しました。 ■
2002.7.25/弁護士 澤田有紀
ある男性が親類縁者を自宅に招き、お盆の法事をいとなんだところ、初めての仕出し弁当屋に注文した食材が原因で数人が腹痛、発熱、嘔吐、脱力感、下痢の症状が出ました。しかし症状が出た方は大事に至らず事なきを得たと安堵されましたが、ご本人の症状は改善されず2日目の夕食時から嘔吐を繰り返し病院に緊急入院をされたのです。入院直後吐物を誤嚥し、誤嚥性肺炎を併発、数日後、便、鼻腔、喀痰の組織検査の結果サルモネラ菌が検出、保健所に通報、事後的に営業停止処分がなされました。主治医の懸命の治療と家族の願いもむなしく、11ヶ月と言う記録的な予後で頑張られましたが、残念ながら、誤嚥性肺炎が原因で死亡されたのです。
私の事務所にご遺族の方がご相談にこられました。仕出弁当屋さんが、食品製造物保険に加入していたので賠償交渉は外資系の損害保険会社が前面に出てきたのです。保険会社は次のような対応をしてきたが到底納得できない。こんな無茶が通るのですかと言う相談です。
(1)食中毒の原因が仕出し弁当であることを否認
(2)死亡診断書に死因として「誤嚥性肺炎」と記載され、サルモネラ菌感染症と記載されていない。
(3)高齢者には嚥下機能障害が認められ脳梗塞などの脳血管障害を有する者は誤嚥性肺炎を併発しやすい。
(4)担当医師の聞き取り調査で、2ヵ月後に除菌されていたから、仮に仕出弁当が原因だとしても、治療費も1ヶ月程度しか払えない。
ご家族が、保険会社の態度に立腹されたのは、人の不幸について先ず因果関係を争ったり、病院での既往症の調査は了解できるとしても、治療費を1ヶ月で済まそうとしたり、損害の公平な分担について意識を欠いていたからです。私はご家族の気持ちを察して、ご依頼を受け、賠償請求を起こしました。
準備として、病院からカルテを取寄せ、保険所にサルモネラ菌中毒発生の証明を弁護士照会で入手し、主治医から、死因について誤嚥性肺炎の基礎に「サアルモネラ菌感染症」が存在するとの証明を入手しました。
裁判で、既往症の死亡に対する寄与率が問題となり30%は認めることにしました。保険会社は50%と主張しましたが裁判所は採用しませんでした。結局、奥様の賠償については遺族年金が損益相殺された結果、総額で相当額の賠償金を得ることで和解で解決し、1か月分の治療費しか払わないと言われたご家族の鬱憤は晴れました。お亡くなりになったご本人のご冥福を祈ることにしました。これで今回の執務メモを終わりとします。
←前へ
↑先頭へ

無料相談のご予約はお電話で
0120-7867-30 (通話無料)
フリーダイヤルが繋がりにくい場合は
06-6348-3055
ご相談予約の前に必ずご確認ください。
トップへもどる
(C)弁護士法人みお綜合法律事務所(大阪弁護士会所属 代表弁護士澤田有紀)