04.クーリングオフの適用外? 悪質な消火器商法 ■
2002.7.25/弁護士 澤田有紀
「消防署の方からきました。」などといって、消火器の点検をして法外な料金を請求するという悪徳商法は漫才のネタにもなっていましたが、契約してから7日以内に書面で通知すれば申し込みの撤回が無条件で認められるクーリングオフという制度(特定商取引に関する法律9条)が広く知られるようになり、最近は、悪質な訪問販売業者も商売がやりにくくなってきたのでしょう。
相談に来られたのは、自動車修理の会社(株式会社)の専務のAさんです。月末の忙しい時に、「こちら×××防災といいますが、(会社の入居するビルの管理会社の)○○建託さんの消火器の点検に今日の夕方伺いたいのですが、何時頃までいらっしゃいますか?」と女性の声で電話がありました。Aさんは「6時頃までいるよ」と返事をしていました。すると夕方の一番忙しい5時ころに男性が二人やってきて「消火器の点検をします」といって事務所においてあった消火器を4本、路上に止めた車に積み込み、Aさんに「ちょっと本数の確認をしてください」といって、書類を取り出し、「ここにサインをしてください」というので、Aさんは「4本やね」と本数を確認して言われるままに書面にサインをしてしまいました。男たちが引き上げた後、渡された書類をみると「消防用設備点検請負契約書」と記載されており、合計で10万円余りの支払う契約書にサインをしていたのでした。
Aさんは、びっくりして、○○建託に問い合わせましたが「関係ない」との返事で、勘違いというか、要するに騙されたことに気付いたのでした。書面をよく見ると、クーリングオフのことも書いてありますが、「事業者には適用がない」とか、「第三者に虚偽の事実を告げて相談してはならない」などと記載されています。
平成13年4月に施行された消費者契約法では「「消費者」とは個人(事業として、又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものは除く。)という。」と規定されており、クーリングオフを定めた特定商取引に関する法律でも「その申し込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの・・は適用しない」との規定があり、Aさんのように法人として契約した場合には、消費者保護のための法律の適用がないようにも見えます。
しかし、今回のようなケースでは、別に会社の営業活動のために結んだ契約ではないことは明らかであり、クーリングオフの適用を認めた判例があります。また、錯誤により契約を締結したことが明らかですので、民法上も錯誤無効や詐欺取消を主張できます。Aさんには、すぐに書面で契約の撤回及び錯誤無効の主張を通知するようにアドバイスしました。
←前へ
↑先頭へ

無料相談のご予約はお電話で
0120-7867-30 (通話無料)
フリーダイヤルが繋がりにくい場合は
06-6348-3055
ご相談予約の前に必ずご確認ください。
トップへもどる
(C)弁護士法人みお綜合法律事務所(大阪弁護士会所属 代表弁護士澤田有紀)