06.離婚裁判雑感 本人の気持ちはどうなるの? ■
2002.7.25/弁護士 澤田有紀
現在、離婚事件の新規受任は行っておりませんが、地方裁判所で和解した離婚事件で当事者の気持ちを思いやれない裁判官と相手方代理人の態度にがっかりした話を書きます。
A子さんは第一子(長男)誕生の少し前から夫が家を出て別居状態になり、夫から離婚を求める裁判を提起されました。この事件では別居期間は3年でこの間も復縁の話が何回かあり、完全に夫婦関係が破綻しているといえるかどうか微妙な事案でした。
しかし、お互いの人格を誹謗する陳述書や公開の裁判での本人尋問などを経てA子さんは元に戻りたいという気力をなくし、地方裁判所の和解の場で協議離婚に同意することにしました。長男の親権の確保と解決金・養育費の支払などの条件に合意し、A子さんは「離婚届を出す日は大安の日にしたい」という希望を出しました。
結婚式や婚姻届の提出には一般に大安の日が好まれますが、離婚届も大安の日がいいというのは珍しいかもしれません。しかしよく考えてみればA子さんの新しい人生のスタートの日でもあるのですからA子さんの気持ちを大切にしてあげたいと思いました。しかし、同世代の担当裁判官(女性)は、はじめから馬鹿にしたように、「婚姻届じゃないんだから。」と述べ、「戸籍に日付けが記載されるからこだわりたい」と言っても「戸籍に大安とは書かれませんよ」などと訳の分からない発言をして、本人の気持ちを理解してくれません。しかし、「これだけは譲れない」というと、いかにも面倒くさそうに「そうしたら大安の日に(和解の)期日をもう一回入れないといけない」といって、「そんなことにこだわって、和解が流れても、知りませんからね、判決書きますよ。」とヒステリックに捨て台詞を残して部屋を出て相手方の弁護士に日時の都合を聞きに行きました。
大安の日に和解の期日が入らないというので、今日離婚届を書いて、A子さんが預かって大安の日に役所に提出したいと言うと、裁判官は「離婚届は原告が出すものですから、それは絶対にできません。」と強い口調でA子さんをたしなめ、相手方にそれでよいかどうか聞こうともしません。確かに離婚届は原告が出すことが一般的ではありますが、「絶対にできない」ものではなく、和解なのですから当事者がそれで合意すればよいことです。特に本件では夫が解決金を後払いすることになっていましたから、離婚届の提出は担保されているのです。
この裁判官の決め付けにA子さんはすっかり傷ついてしまいました。
結局、調停調書に「夫は離婚届を○月○日に提出することを確約する」と書いてもらうことでA子さんはしぶしぶ納得せざるを得ませんでしたが、本当にその日に出してもらえる保証はありません。
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(C)弁護士法人みお綜合法律事務所(大阪弁護士会所属 代表弁護士澤田有紀)