08.民事再生法を活用した病院経営の再建手続き ■■■
2002.7.25/弁護士 澤田有紀
[5] 認可決定後の履行の確保
1 申立代理人に期待される役割
会社更生法の手続では、管財人が選任され、従来の経営者は経営権を失うが、民事再生手続においては、経営者の交代を必ずしも要しない。医療法人の場合には、医療法上、理事長は原則として医師の資格が必要であるなどの制限から、理事長の交代が容易にできず従来の理事長が続投することも多いと思われる。
しかし、経営を破たんに導いた従来の経営者が、今後も続投して再生計画を履行するというのでは、今後の再生計画の履行に不安を抱かせる要素となり、債権者の理解が得られない場合がある。
そこで、申立代理人には、管財人に求められるのと同様に、総債権者の利益にかなうよう経営を監督することが求められる。
民事再生法では、「再生手続が開始された場合には、再生債務者は、債権者に対し、公平かつ誠実に、・・権利を行使し、再生手続を追行する義務を負う。」(法38条2項)とされているところ、再生計画の遂行にあたっても、申立代理人は、公平かつ誠実に経営を監督して弁済の履行確保のために努めなければならないと考える。
2 実例
筆者が申立に関与した医療法人の場合、理事会の上部組織として、申立代理人弁護士3名、会計士1名、理事により運営協議会を設置し、少なくとも2ヶ月に1回以上開催して、業務実績、再生計画の履行状況を監督し、設備投資・人事などの重要事項について運営協議会の承認を要することとした。たとえ理事会で決定した事項であっても、申立代理人と会計士の合計4名うち、2名が反対した場合には、理事会の決議を差し戻すことができるとの取り決めをしている。
(銀行法務21/別冊「病院経営の再生と実務」)
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(C)弁護士法人みお綜合法律事務所(大阪弁護士会所属 代表弁護士澤田有紀)